コロナの諸問題と裁判

・マスク

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https://news.yahoo.co.jp/articles/9add31f384abb4bb8af81b7d205f556d76726d66

弁護士の桜井康統さんは、マスク不着用を理由に飛行機を強制的に降ろされたとして日本航空(JAL)に賠償を求める訴訟を起こした。ノーマスクによる搭乗トラブルはこれまでにも複数あり、客に有罪判決が出たケースもあるが、桜井さんの場合は少し違う。トラブルにならないよう事前にJALに問い合わせをし、JAL側はノーマスクでの搭乗を了解していた。それにもかかわらず、最終的には警察に囲まれながら降ろされる事態になった。

事の詳細は記事本文を読んでください。
さて、この裁判、どちらが勝つと思いますか?原告(桜井さん)でしょうか。それとも被告(JAL)でしょうか?
僕は当然原告が勝つと思う。ノーマスクで搭乗するために、準備万端、やるべきことはすべてやり、JALの了解をとりつけた。もう十分でしょう。桜井さんが機内で暴れるとか暴言を吐くとか、安全な飛行を乱すようなことをしたのならまだしも、機内で静かに座っているだけだった。それにもかかわらず、半ば強制的に降ろされた。桜井さん、気の毒すぎる。JALの不手際じゃないとしたら、一体何ですか?

「おっしゃることは分かります。ただ、法律のプロの目から見れば、この訴訟、桜井さんが負けると思っています。
谷本議員のケースと同じです。

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搭乗時、谷本さんはあまりにも不遜な態度を示し、健康上の理由だと端的に説明をしなかった。対応したCAは「この乗客とはコミュニケーションがとれない」と判断した。こういう事情であれば「降機もやむを得なかった」と裁判所は認定するはずです。
マスクだと分かりにくいかもしれません。たとえば、CAから「リクライニングを戻してください」と言われて「任意ですか?強制ですか?」という客がいたらどうですか?「リクライニングを戻すことを強制するのは憲法違反だ!」と答えて会話がかみ合わない客(谷本議員のケース)がいたらどうですか?「あなたがいなくなったら戻します」としか話さない客(桜井弁護士のケース)がいたらどうですか?CAは困りますよね。離陸した後も、「この人はちゃんと乗務員の指示に従うだろうか」と不安になります。そういう人に対しては、「申し訳ないけれども安全阻害行為に該当するので降りてください」という航空会社の言い分もなるほどな、と思いませんか?

彼らが「健康上の理由だ」と言ってくれさえすれば、航空会社としては丸く収めることができた。それ以上詳細を深追いすることはしません。まして診断書の提出も求めません(乗客の既往歴という高度なプライバシーに配慮しています)。ただ、「その代わり大声で話したりはしないでね」「くしゃみのときはハンカチなどで口を覆ってくださいね」と説明して、「分かりました」と素直に答える乗客は、そのまま飛行機に乗せてくれます。
これは、航空会社にとって、ひとつの”落としどころ”なんです。事前に申請し、健康上の理由だということであれば(仮にそれが真摯なものでなくても)乗せてあげましょう、その代わり我々の指示にはちゃんと従ってくださいね、という。
しかし桜井弁護士は、健康上の理由ですか?という質問をCAから何度繰り返されても「いや、私は健康です」などと言って、彼らが求める回答をしなかった。

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https://www.suits-law.jp/wp/wp-content/uploads/2023/02/JAL%E8%A8%B4%E7%8A%B6-2.pdf

CAは27回も確認してくれたんですよ? 2、3回で降ろしたなら、それはちょっと乱暴な気もしますけど、いわゆる「落としどころ」に落ち着くような回答を得るために何度も聞いてくれたわけです。強制的に降機させることがいかに大ごとか、CAも分かっています。しかし桜井弁護士のこの態度は、ただの意地悪です。「事前申請をしているのだから乗せられないはずがない。早くどこかに行け。俺は弁護士だぞ」という傲慢さが表れているようにも思われます。「降ろされたら降ろされたで訴えてやろう」という魂胆もあったと私は見ています。
いずれにしても、普通に健康上の理由だと説明すれば乗れるのに、趣旨不明の回答に終始するので降ろされたのです。それをマスクの問題にすり替えているだけです。
もちろん、健康上の理由がなければマスクを着けなければいけない、という前提自体がそもそもおかしいのは百も承知ですが、そこは鉄壁というか、なかなか崩せません。

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ちなみに桜井さんはウェスティンホテル東京でノーマスクを理由に宿泊を断られ、これについても訴訟を起こしています。
裁判的には、こちらのほうがまだ可能性があります。マスクは場所が重要です。飛行機は最も不利です。逆に最も有利なのは公民館や公共施設、その次くらいがホテルです。

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https://www.jiji.com/jc/article?k=2022100700151&g=soc

マスク未着用の客の宿泊を拒否できるよう、旅館業法の改正案が閣議決定されましたが、

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差別を助長するとの声があがり、宿泊拒否の項目は削除されました。
だから、マスクをしてないという理由だけで宿泊を拒否すれば旅館業法違反です。かなり迷惑な客、たとえば胸ぐらをつかむとか、相当違法性の高いことをやらない限り、ホテルは客を追い返せない。被告のウェスティンホテル側がそれを立証できるか、となるとかなり難しいと思います」

・接種の強要

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https://www.asahi.com/articles/ASR616QGRR61PTJB005.html

過去に別のワクチンを打って副作用が出たことがあるから、コロナワクチンの接種を拒否したんですね。これが2021年4月のこと。すると職場で強烈なハラスメントが始まった。部屋ではなく廊下脇で仕事をするように言われたり、更衣室を使うなと言われたり、制服ではなくて私服で勤務させられたり、職場内での行動を記録して提出するよう求められたり。まぁ、いじめですよ。組織ぐるみで未接種者にプレッシャーをかけた。
さらに、消防長名義で作成した「ワクチン接種拒否者への業務区別」という内部文書で、この人の勤務場所や仕事内容を盛り込んだ上で、全職員や来庁者などとの接触制限を各所属長に対して求める旨を記載して、これを全職員約200人に回覧させた。そう、さらし首ですね。
コロナワクチンを打たないという、ただそれだけのことで、これだけひどい仕打ちを受けた。心身のバランスを崩しついにギブアップ。2021年8月退職。
その後、消防本部にこの一件を問題視する当初があり、同本部は顧問弁護士と協議し、対応に問題はなかったと結論づけた。「感染防止に必要な措置だった」と。

ちょっと待て。こんなデタラメは断じて放置してはいけない。

これ、明確に差別だよ。「みんな打ってるのに打たないんだから、仕方ないよね」とかで済ませてはいけない。
滋賀弁護士会が動いた。「当会としては、速やかに第三者委員会を設置し、中立かつ公正な立場の委員らによる事実確認や検証を行う」と。

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コロナは終わった。しかし今後、”コロナみたいなこと”はまた起こる。ワクチン接種の強要とか同じようなことが起こるだろう。そのとき、今度はあなたが差別される側になるかもしれない。他人事じゃないんだよ。

コロナは社会に様々な軋轢を生んだ。マスクの強要、ワクチン接種の強要、接種による健康被害など。
コロナ戦争は3年で終わったが、戦後処理の裁判は3年では終わらない。
デタラメを強要した側、デタラメに唯々諾々と従った側、双方に反省点がある。「当時は狂っていたなぁ」と回顧的になれるときこそ、本当の意味でコロナの終焉じゃないかな。

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