昨夜、アラサー男女を対象とした未接種婚活があって、若者相手にこんな話をした。
みなさんはあのワクチンを打たなかった。すばらしいことです。人生は選択の連続ですが、あのワクチンを打たないと決めたことは、間違いなく最良の選択でした。この上なく重要な二択で、みなさんは過たなかった。まず、そのことだけでも、みなさんに敬意と拍手を送りたい。
ただ、「温度差」はあると思うんですね。SNSなどで徹底的に調べた上で確信をもって接種を拒否した人もいれば、特に確信はないけれども「なんとなくヤバそう」という直感で回避できた人もいるでしょう。あるいは、「小さいときにインフルエンザワクチンを打ってひどいアレルギーが出て以来、そもそもワクチンの類いは打たないと決めていたから」みたいな人もいます。
理由は問いません。熟慮の上で貫き通した未接種であれ、たまたま運よく打たなかっただけであれ、とにかくみなさんはあの液体を体内に注入しなかった。僕はその熟慮にも、またその強運にも、等しく敬意を払います。とりあえずここでは、「打たなかった」というその事実だけでけっこうです。この会の参加資格は、ただそれだけです。
みなさんのなかには、打たないというその決断ゆえに大変な思いをした人もいるでしょう。周囲からの無言のプレッシャー程度ならまだしも、未接種を理由に解雇や減給、露骨なハラスメントを受けた人もいます。弁護士に相談するべき案件です。しかし狂気の支配するコロナ禍において、法曹界も狂っていました。「感染症の流行時にとるべき感染防御策をとらなかったのだから一定の人権制限はやむをえない」などと考える弁護士がワクハラに関する相談を受け付けなかったという事例を聞いています。
みなさんの恨みつらみ、痛いほどわかります。だから、僕としては、逆をやりたいと思っているぐらいなんです。つまり、たとえば会社をやるとすれば、採用条件として「未接種であること」を掲げたい。仕事柄、シェディングに悩んでいる人を毎日のように見ているので、職場の環境保全の意味合いで未接種者が好ましいということもありますが、それよりも何よりも、あのプレッシャーに屈さなかった。「打て」「打て」の大合唱の嵐のなかを潜り抜けたその心のタフさ。未接種というマイノリティーをともに生きることへの共感。他の能力はそんなに重視しない。あのワクチンを打たなかったという、ただそれだけで、どういう人なのかだいたい分かります。だから、即採用です(笑)
でもこういう選び方って差別なのかな。今まで未接種者がさんざん差別されてきたけど、逆に未接種者を優遇することもまた別の差別ってことになるのかな。とにかく、僕の気持ちとしてはそれぐらい未接種者のみなさんを推したいということです。
未接種を貫き通した若いみなさんが、交際する相手にも自分と同様未接種であることを求めるのは当然です。しかし未接種という「限定」をつけてパートナー探しをするのは、ものすごく大変でしょう。まず、みなさんは圧倒的な少数派です。国民の8割はあのワクチンを打ったんです。みなさんは2割の少数派です。職場に10人いれば8人は打っている。未接種の2人から選ばないといけない。選択の幅が異様に狭まってしまいます。
このような出会いの場をもっと頻繁に提供することが、日本の未来に対する何よりの貢献かもな、という思いもありますが、しかし、このような会を主催すると、ネットなどの一部界隈で「ナカムラクリニックが未接種婚活とか主催して金儲けに走ってる」とか批判されます。
あのね、開業医をあまりバカにしないでください。金儲けだけ考えるのなら、普通に仕事しますよ。予約が2か月待ちとか患者に申し訳ないし、少しでも仕事を増やしたほうが、患者の助けになるしクリニックの収入的にもありがたい。win-winとはこのことです。労力とか時間当たりのコスパとか考えれば、未接種婚活なんてバカげている。最低限赤字は出ないようにしてるけど、これで金儲けなんてできないよ。
最近、over 45の未接種婚活を募集しました。7月8日午前10時に受付開始と事前に通知していました。すると、受付を開始したほぼその瞬間に予約が埋まりました。女性は3分、男性は15分で予約完売です。
僕はこのスピードに驚嘆しました。それと同時に、パートナーに未接種を求める需要がいかに大きいか実感しました。
コロナワクチンを打つか打たないかで揉めて離婚まで至った夫婦を僕の周りだけで少なくとも3組は知っています。世間一般には数えきれないほどいるはずです。
たとえば50歳で離婚した女性は、将来がすごく不安だと思う。収入面で支えになるパートナーがいれば、という思いもあるだろうけど、それ以上に、平均寿命から言って人生あと30数年は生きないといけない。残り30年、一人で生きるよりは、パートナーがいたほうがいいに決まっている。そして、できれば相手は未接種であってほしい。
こういう声は世間ではあまり堂々と語られることはないだろうけれど、潜在的にかなりの多くの人がそんな希望を持っていると思われます。
ある女性がこんなメッセージをくれた。
「未接種婚活、応募したかったのですが、できませんでした。10時に受付開始されることは知っていました。それで10時に入力フォームに記入し始めたのですが、【ご意見】の欄に「中村先生、いつもnote読んでます。貴重な情報をありがとうございます」みたいなメッセージを、けっこうな長文で書いたんですね。それでちょっと時間がかかって、さて送信ボタンをクリックしたときには、もうsold outになっていました。こんなにすぐに売れてしまうと分かっていたら、メッセージなんて書かなかったのにと残念に思っています」
これは申し訳ない。こんな、情のある人が、その情ゆえに、参加できなかったなんて、主催者としては本当に申し訳ない。
やはり、もっと頻繁に、数多く出会いの場を用意すべきだろうな。
over 45の婚活、またやりますね。
そう、ミドルエイジの人たちは、熱烈に未接種のパートナーを求めています。20代の若いみなさんよりも、はるかに強い熱量で求めています。
僕は、自分が20代の頃を振り返って思うのですが、結婚なんて全然考えていませんでした。若いから異性とのお付き合いとかは興味があったけど、「結婚は別」と思っていたし、恋愛以外にも勉強とか趣味とか楽しいことがいっぱいあって、結婚する気なんてまったくなかった。みなさんも同じような感じじゃないですか?
いや、もちろん、こういう場に来てくれてるぐらいだから、それなりに結婚への意識はあるでしょう。でも、それほど切羽詰まった感じはない。「まだ若いんだし、出会いのチャンスもいくらでもある。いい人が見つかればいいかな」ぐらいでしょ。
分かります。でも、個人的な話ですが、僕は結婚して本当によかった。結婚してこんなに幸せになれるのなら、もっと早くにしておけばよかったと後悔しています。結婚が20年遅かったなって。
家に帰ると妻がいて、食事を作ったり、何かとサポートしてくれる。それだけでも、結婚してよかったと思った。自由はないよ。ネットの動画を見たり好きなバンドのライブに行ったりいきなりどこかに旅行に行ったり、そんなことはできなくなった。気ままな一人の時間がなくなった。それでも、結婚はいいものだよ。不自由を補って余りある幸福感があるよ。
子供が欲しいと思っていた。でも、妊娠しない。妻は43歳で高齢だから仕方ないと思ってた。期待してなかったんだけど、あるとき妊娠した。それで、ほら、この可愛いこうちゃんが我が家に来てくれました。
みなさん、こんな統計ご存知ですか。結婚した7割の夫婦は子供を望む。1人授かった夫婦のうち7割は、さらに2人目を望む。2人目を授かった夫婦のうち7割は、さらに3人目を望む。
これ、実感として正しいと思います。こうちゃん、本当可愛い。自分の赤ちゃんがこんなに可愛いとは想像をはるかに超えていました。で、こんなに可愛い子なら、もう一人欲しいって思うんです。妻も同じです。でも、女性には、生物学的な年齢の壁があります。
僕は、若いみなさんに自分の後悔を伝えたい。結婚が遅かった。すごくもったいなかったと思う。結婚生活という、こんなに楽しいことをずいぶん遅らせてしまった。
独身のときに「今、幸せ?」って聞かれたら、「うん、まぁそれなりに」とか答えたと思う。でも、そんな自分をぶん殴ってやりたい(笑)「とりあえず誰でもいいから結婚しろ」ぐらいなことを言ってやりたい。そっちのほうが絶対幸せだから。
女性の社会進出は悪いことではないよ。性別関係なく優秀な人は優秀だから、社会に出て活躍すればいい。ただ、そういう人にも「後悔しないようにね」という一言はかけてあげたい。
妻は男社会でバリバリ働いて、そこらへんの男以上の業績をあげていました。40歳を過ぎた頃にたまたま僕と出会い、仕事を辞めて専業主婦に落ち着いた。
こうちゃんが来てくれただけでも万々歳で、よしとすべきかもしれない。しかし、できれば2人目を、という思いもあって、同時に年齢の壁も意識せざるを得ず、、、
出会うのが20年早ければ、と思ったりもするけど、20代の僕は若くて傲慢で未熟で、妻は多分、今と同じように感情的だから、絶対うまくやっていけない(笑)
20代の未熟な僕は、同じように未熟な女性と結婚すべきだった。たくさん喧嘩したり笑いあったり裏切ったり妥協したり許したり、いろいろあるだろう。それでいい。それでお互い人間的に磨かれていく。そういう結婚生活は、この上なく幸せに違いない。
僕は20代30代の時期、そういう経験をすっとばして、もっと別のことにかまけていたんです。もっとつまらない、もっと無意味な、もっと非生産的なことを、「楽しい」なんて言いながら。
僕のような後悔をしちゃダメですよ。