講演会 in 札幌2

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世界中の未開部族を見てきたプライス博士は、ある事実に思い当たりました。それは、

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伝統的な部族社会には虫歯は存在しないということです。

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アフリカのマサイ族、ニュージーランドのマオリ族、アラスカのエスキモー、ネイティブアメリカン、アラブ、スイス、ペルー、、、
どこの原住民もすばらしい歯をしていた。それは現代アメリカ(プライスの活躍した1930年代のアメリカ)ではまずお目にかかることができないほど見事な歯でした。
それは別に、彼ら原住民が熱心に歯磨きをしているおかげではありません
だから、

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マスメディアなどで「歯の健康を保つためにフッ素が必要」だとか、歯医者に行くと歯科衛生士が歯磨きの仕方を指導したりするのは、

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全部嘘だということです。

「世界中のネイティブたちには歯を磨く習慣がない。そもそも歯医者という仕事自体がない。それにもかかわらず、彼らはすばらしい歯をしている」ということにプライスは気付きました。またプライスは、以下のことにも気づきました。

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「伝統的な食生活を放棄し西洋社会の食事を摂り始めると、彼らの歯はすぐにダメになっていく

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親世代が西洋的な食事を摂り始めて、その次の子供世代になると、狭窄歯列弓、叢生歯、不正咬合、犬歯の先鋭化など、特徴的な所見が見られるようになります。

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虫歯、歯周病などの歯科的な問題だけではありません。感染症、冠動脈疾患、脳血管疾患、糖尿病、骨粗鬆症、妊娠合併症など様々な疾患にかかりやすくなります。さらに、精神疾患や犯罪の増加など、行動上の問題も出てきます。
では、現代西洋食の何が問題なのか?
精白した小麦や砂糖、農薬や添加物など、摂取すべきでないものを摂取していることは確かに一因ですが、プライスがそれ以上に問題視したのは、

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摂るべき栄養素の欠乏です。具体的には、

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現代食(といっても1930年代米国の食事ですが)と比べて、ネイティブの食べる伝統食には、ミネラルと水溶性ビタミンが少なくとも4倍多く、脂溶性ビタミンは少なくとも10倍多く含まれていた
プライスの活躍した1930年代、すでに脂溶性ビタミンとしてAやDは知られていましたが、プライスは「伝統食にはAやD以外の何らかの脂溶性物質が含まれいてる」と考え、それを活性化因子X(activator X)と名付けました。

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プライスはこのXを含む独自のオイルを作り、臨床で自分の患者に使って、劇的な成果をあげました。
たとえば、こんな症例。

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10歳長女。顔の幅が狭く、歯列弓が乱れている。鼻孔が狭く、口呼吸。猫背になりがちで、神経質な性格。
一方、その妹の6歳次女は、顔のプロポーションは正常。鼻呼吸で、姉のような神経質な性格ではない。美しい歯列弓がレントゲンで確認できた。
姉妹でなぜこんなに違うのか。
長女を生んだとき、お母さんは難産で53時間もかかった。産後は寝たきりになって数か月間寝込まないといけなかったほど。
「もう出産はこりごりだ」と思っていたけれど、かわいい子育てをしているうちに、「またもう一人欲しいな」と思うようになり、プライスのところに相談に行ったんですね。そこで、プライスから「妊娠前から栄養に気を付けて、体を作っておくことが大事。グラスフェッドのミルク、緑色の野菜、海産物、臓物(モツ)、バター、タラ肝油なんかを摂るといい」というアドバイスを受けた。
実践した結果、二人目はわずか3時間の安産。二人目は一人目よりもお産が短くなるものだが、それにしても3時間はすばらしい安産だ。しかも、次女は長女に比べて、その後の成長もはるかに良好だった。

だから要するに、出産を考えている人が食べるべきものとして、具体的には以下のようになります。

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グラスフェッドミルク
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昆布とか海藻類は子供の知的発育に必須
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タラ鍋するなら一番おいしい肝は奥さんにゆずってあげて
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カニ味噌はやはり奥さんが食べるべき
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いくらとか魚卵の類いは脂溶性ビタミンの宝庫
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ジビエとして鹿肉はオススメ

北海道のみなさんにはすべて手に入るものです。大地の豊かさに感謝ですね。
ところで、タラ肝油を勧めると、「肝油はくさいので飲めません。でもこれなら大丈夫」ということで、『カワイ肝油ドロップ』を使っている人がけっこういる。でもこれ、まったく無意味ですよ。
同社のホームページに以下のような記述があります。

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「魚由来の原料から医薬品規格のビタミン原料へと切り替えています」
つまり、肝油という名前でありながら、魚由来の原料を使っていない。ビタミンAとかDを入れて甘く味付けしただけのただの飴ちゃん、ということです。
これ、ひどいと思う。『カワイ肝油ドロップ』って表看板にデカデカと書いてるんだから、普通は「肝油が入った飴だな」って思いますよね。でもそうじゃない。実際には、単なるビタミン入りの飴だっていう。消費者は当然誤解するよね。
これ、景品表示法とか何かの法律違反じゃないかな。ホームページにはきっちり書いてるとはいえ、ほとんどの人はそこまで調べないと思う。はっきり言って詐欺だよね。

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4歳男児が骨折が治らないと来院しました。1929年に世界恐慌が起こって、プライスが臨床をしていた1930年代は、今日明日食べるものにも困る子供たちがたくさんいました。この4歳の男の子は、白パンと脱脂粉乳で日々食いつないでいるという感じで、そんな食生活のせいで、持病のけいれんが再発し、さらにそれがきっかけで転倒し足を骨折した。この骨折が全然治らない。けいれん発作が止まらず「このまま死ぬんじゃないか」と思った牧師がすぐさまプライスのところに連れてきた。そういう経過です。

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白パンをやめて全粒小麦にして、パンにしっかりバターオイルを塗るように指示した。さらに、脱脂粉乳ではなくてちゃんとした牛乳(グラスフェッドミルク)を飲むように言った。こういう食事改善だけで、

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骨折もすっかり軽快しました。
つまり、食べるべきもののヒントとして、

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グラスフェッドバター
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ギーもいいよ
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全粒粉小麦であっても、パン小麦であっては意味がない。ぜひともスペルト小麦(古代小麦)の全粒粉であって欲しい。現代は小麦が本当にダメになってる。有機全粒粉をうたってる小麦であっても、それがパン小麦であっては体調を崩す人が多い。品種改良の時点でダメになってるから、有機であっても全粒粉であっても等しく無意味。食べるのなら、古い品種、100年前200年前のヨーロッパ人が伝統的に食べてたようなスペルト小麦が好ましい。

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大恐慌のもと、貧困家庭で暮らす虫歯だらけの子供たちを対象として、加入実験を行った。朝、昼、夕、三食の食事に介入することは難しいので、せめてお昼ご飯だけでもということで、昼食をプライス流の完全な食事(ネイティブが食べていたような脂溶性ビタミン豊富な食事)に変えた。朝と昼は介入してないから超テキトーなまま。砂糖菓子とか白パンとか好き放題食べてた。でも、お昼だけはきっちりしたものを食べさせた。それで子供らの虫歯がどうなるか、調べてみたわけです。

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現代人は加熱した野菜はけっこう食べているけど、生の野菜って大事ですよよ。サラダとか生野菜には、加熱で失われる酵素やビタミンが生きています。作り立ての野菜ジュースに、バターオイルやタラ肝油を入れる。さらに、野菜や肉を煮だしたスープをも飲ませる。生野菜ジュースと真逆だけど、温野菜も併せてとらせた格好だ。骨を煮だしたスープって、ボーンブロススープということだね。これは栄養的には最高ですよ。
1日のうち1食だけ、こういうすばらしい食事をとった子供たちにどういう変化が起こったか?

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虫歯になるとエナメル質が溶けて象牙質がむき出しになるものだけど、なんとそこに、エナメル層が再びでき始めていた。「虫歯の自然治癒はあり得ない」というのが歯科の定説だけれども、プライスは明確にこれを否定している。だって、臨床でそういう症例を無数に観察してるんだもの。
一人の少年はあまりにも虚弱で、家から教会までの2ブロックを歩くことさえままならず、プライスのこの実験に参加することも危ぶまれていたが、この食事をとり始めてから6週間で、バスケができるまでに回復した。
また、別の少年は、クラスで一番頭が悪かったが、半年後にはトップクラスの成績をとるようになった。不審に思った教師がプライスのところに事情を聞きに来たほどだった。
これこそ、食事の持つパワーですね。
具体的には、

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ボーンブロススープ。できればエゾジカとかジビエの骨をぐつぐつ煮たのがいい。一般の方法で飼育された畜肉の骨で同じことをするのは、ちょっと怖い。遺伝子組み換えの飼料を食べ、ホルモン剤を打たれ、ワクチンを打たれ、抗生物質を投与され、食べ続ければ奇形児が生まれるコンビニ弁当の残飯を食べ、みたいな豚、牛、鶏というのは、骨の中にも有害物質がぎっしり詰まっている。それをことこと煮込んだエキス。本当に大丈夫かという思いがあるので、ジビエの骨を使ったダシのほうがいいんじゃないかな。

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ジューサー、ミキサー、ブレンダー。どう違うか分かりますか?
食物繊維も除去して純粋に「しぼり汁」だけにするのがジューサーです。食物繊維の消化さえ負担になる人にはジューサーがオススメです。
ミキサーとブレンダーは同じです。mixerというのはほぼ和製英語ぽくて、英語圏では基本的にblenderと言います。食物繊維も含めごちゃまぜの粉々にします。

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タラ肝油なら、このメーカーが無難かな。

プライスがactivator Xと呼び、追い求めた栄養素は、結論からいうと、ビタミンK2だった。「必須脂肪酸ではないか」という説や「いや、6メトキシベンゾオキサゾリノンに違いない」などと諸説が入り乱れて、最終的な解答が出るまでに60年以上かかった。それぞれの諸説にはそれぞれの科学者の物語があり、それなりに興味深いけれども、ここでは立ち入らない。
それに、このビタミンK2という結論自体にも大して意味がないと思う。上記で紹介したようなバターオイルやタラ肝油を差し置いて、

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「ビタミンK2のサプリで同じ効果が得られます」

なんてことには絶対にならない。サプリとして摂取することは無駄とは言わないけれども、食材として摂るほうがはるかに好ましい。
僕は職業柄、サプリをけっこう患者に勧める立場ではあるけれども、還元主義の落とし穴にはまらないよう常々気を付けています。ビタミンCを毎日のように患者に勧めるし、実際ビタミンC点滴の効果は確かにすばらしいけれども、ミカンの効用をあなどってはいけない。同様に、ビタミンK2サプリもいいだろうけど、タラ鍋をしてその肝を珍重して食べるという素朴な栄養補給も忘れてはいけないよ。

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