玄米が癌に効くという研究は無数にあって、たとえば、以下のようなもの。
西洋人から見て、かつて日本人の乳癌死亡率、大腸癌死亡率は驚異的に低かったんですね。ただし、これは今では過去の話です。
以下のグラフは、日本人がどこの部位の癌で死亡しているか、その推移です。
いまや、大腸癌は女性の癌死の第1位(男性では第2位)、乳癌は女性の癌死の第4位です。
しかしかつてはそうではなかったため、欧米の研究者は日本人になぜ大腸癌や乳癌が少ないのか、その秘密に迫ろうとして数多くの研究を行った。冒頭に挙げたのはそういう研究のひとつである。
玄米には様々な有用成分(γオリザノール、プロトカテク酸、p-クマル酸、カフェー酸、フェルラ酸、シナピン酸、バニリン酸、メトキシ桂皮酸、トリシンなど)が含まれている。
これらの個々の成分で検証しても抗癌作用が確認できるけれども、玄米抽出物という形ですべての成分が含まれているほうがはるかに抗癌作用が高かったという。
この視点は大事です。僕は仕事柄サプリを毎日のように患者に勧めているし、僕自身、サプリを飲んでいるけれども、サプリ(抽出物)よりも食材でとるほうが好ましいに決まっている。たとえば、ビタミンCをとるとしても、サプリ1錠はミカン1個にかなわない。もちろん、ビタミンCの含有量で言えば、サプリは1000㎎含有、ミカンは多分数十mg程度で、ミカンはサプリに全然及ばないんだけれども、ミカンには他の栄養成分や食物繊維、酵素などが含まれていて、栄養はそういう各主成分の調和で効くものだから、ミカンに含まれるたかだか数十mgのビタミンCのほうがサプリの1000㎎のCよりもはるかに効くものだ。「全体は部分の総和以上のものである」という哲学者の言葉がありますが、この言葉はここでも真です。
サプリというのは結局その程度のものだよ。もちろん、サプリにはサプリの利点がある。簡単に摂取できて便利だし、高用量で摂取することで治療的な効果を持つこともある。状況に応じて上手に使えばいい。
脱線ついでにもうちょっと話すと、僕は患者にCBDオイルを使うことが多いけれども、CBDオイルというのは医療用大麻から抽出したオイルで、CBDはカンナビジオールの略です。CBDオイルは、ざっと3種類あります。フルスペクトラム(大麻の成分すべてを含有)、ブロードスペクトラム(日本では禁止の酩酊成分THC(テトラヒドロカンナビノール)だけは抜いてあるがそれ以外はすべて含有)、アイソレート(CBDだけを含む)の3種類です。当然一番効くのはフルスペクトラムだけど、法律のしばりがあってTHCを使った商品は禁止されているので、せいぜいブロードスペクトラムを使うしかない。これは患者の健康のことを思えば残念です。大麻の各種成分もそれぞれの調和で効きます(アントラージュ効果)。しかしTHCを抜いているせいで、効果はガタ落ちです。欧米など大麻が解禁された国のCBDオイルは、当然THC含有ですから、日本のCBDオイル(ブロード)よりもはるかに効きます。成分単体のCBDオイル(アイソレート)は、さっぱり効きません。でもこういう知識のない人は、ネットで買ってしまうんです。「40%ですごく濃いから効きそうだ」みたいな感じで。使ってみると当然効かないから「CBDオイルって全然ダメだな」と結論づけてしまう。アイソレートの40%よりもブロードの10%のほうが効くものだよ(もっといいのはフルスペクトラムの5%だけど)。それに、CBDオイルは値段もピンキリ、質もピンキリだから、ちゃんとしたメーカーのを選ぶことも大事。そもそもCBDオイルというのは大麻から作られてて、大麻の質自体がピンキリなんだ。ほら、ときどき逮捕されてる人がいるでしょ。自宅の押し入れのなかで人工照明と液体肥料を使って大麻を栽培していて逮捕された、みたいなニュース。もともと大麻は雑草みたいなものでタフだから、そういうやり方でも育つんだけど、でもそういう大麻と、地面にしっかり根っこを張って太陽の光をさんさんと浴びて育った大麻では、質が全然違う。安かろう悪かろうで粗悪な安物使ってるようでは、望んだ効果は得られないよ。
冒頭で挙げた研究について、玄米エキスで乳癌細胞が78%死滅したというのは、なかなか驚くべきことですが、しかしこれはあくまで、シャーレ上の話です。乳癌患者が玄米を食べたとして、それで乳癌が治るという意味ではありません。
しかし、さらに別の研究があって、玄米を積極的に摂取する女性ではそうでない女性に比べて乳癌リスクが58%減少した。具体的には、毎日玄米を350g食べるごとに乳癌リスクが24%減少した。玄米の抗癌作用は試験管の中の話だけではなくて、疫学研究によっても裏付けられたわけです。
ただし、米については、ヒ素、カドミウム、鉛など重金属の蓄積の可能性が言われているから、重金属汚染された田んぼで育った米は避けたい。
さらに「玄米にはフィチン酸が含まれていて、これがミネラル類の排出を促してしまうから、別の健康リスクがあるのではないか」という指摘もある。
https://www.westonaprice.org/health-topics/vegetarianism-and-plant-foods/living-with-phytic-acid/#gsc.tab=0
その一方、たとえば甲田療法の甲田光雄先生は玄米を激推しで、重金属やフィチン酸のリスクについて心配することはないと著書のなかで説明している。
矛盾する説があるわけです。
玄米を食べるべきか、食べざるべきか。みなさん自身で考えてみてください。
ゴーヤのおいしい季節になってきましたが、朗報です。
ゴーヤが前立腺癌、乳癌に効くとのこと。
ちなみにゴーヤは英語でgoyaではなく、bitter melonと言います(goyaだと画家になってしまう)。ビターメロン。甘くないのにメロンとはこれいかに、という感じだけど、ゴーヤというか苦瓜と呼べば、ビターメロンという英語はむしろ直訳そのものですね。
前立腺癌はここ数年日本人男性の間で急上昇しているけど、アメリカではすでに癌死の第2位である。増え続ける前立腺癌に対して、食事的にアプローチするにはどうすればいいか。そのひとつの答えが、ゴーヤである。
ゴーヤは癌に効くばかりではなくて、万病に効く。抗酸化作用、抗炎症作用、抗癌作用、抗糖尿病作用、抗菌作用、抗肥満作用、免疫調整作用などがある。
これ、患者に教えてもらったんだけど、高知県のとある店がゴーヤの種粉末を販売している。
https://www.kenkoutya.jp/SHOP/k-01001.html
ゴーヤの種で癌が治ったという利用者の声がHPで紹介されている。
種というところが意外です。実の部分は食べるけど、種なんて捨てるところですよね。ところが、この種の部分に薬効が集中しているというのだから、自然界にはまったく無駄がない。薬効が種に集中しているという意味では、ビワもそうですね、ビワの実は食べておいしいけど、癌に効かせようと思ったら、誰しもが捨てる種をこそ摂取すべきだという。
良薬口に苦しで、だいたい苦い食材というのは体にいいものですね。たとえば、その名の通り、にがり(塩化Mg)も苦くてまずいけれども様々な効果があるように。