先週イーテックの小野社長と久しぶりにお会いした。小野さんとは水の講演会を一緒にしたり、我が家のBBQパーティーに来てくれたり、仲良くさせてもらっている。
https://note.com/nakamuraclinic/n/n8a3a1c7d19f1
小野さんは水のプロである。別に小野さん自身がそう名乗っているわけではない。そんなふうに紹介されたら、照れて笑顔で恐縮する様子が目に浮かぶ。でも、僕は断言するけど、小野さんが水のプロじゃないとすれば、この世にプロを名乗れる人なんていない。水を巡る政治状況、外国資本の思惑、各地の水質の汚染状況など、水に関する情報収集を決して怠らないし、自社商品のさらなる濾過機能の向上のため日々研究を重ねている。プロというのは、知識をマスターした人のことを言うのではなく、常に情熱を燃やし続けられる人のことを言います。
雑談していると、当然話題は最近の水事情になった。
「最近のニュースを見ていると、あちこちで高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)が検出されています。軍基地のある多摩周辺でPFASが確認され、地域住民の血液中からも見つかったとのことですが、実は日本で最もフッ素汚染されているのは東京ではありません。大阪です。よかったらご自分で検索して調べてください」
実際に調べてみると、確かに大阪の汚染が最もひどかった。
(【参考】https://www.youtube.com/watch?v=9okwm4FoakU)
PFAS(有機フッ素化合物)は4千種類以上あるけれども、そのうち特に毒性が高いのはPFOAとPFOSです。
2020年PFOA汚染ワーストランキング
大阪の摂津市が2位以下を桁違いに引き離すぶっちぎりの1位。
2位は調布市。米軍基地の影響かな。3位4位は意外にも沖縄。水がきれいなイメージだけど、これもやはり米軍のせいだろう。5位と9位に僕の住む神戸がランクイン。神戸は昔は水のきれいな町で、酒どころとして有名だったけど、終わったね。ゴルフ場作り過ぎたせいか得体の知れない工場を誘致したせいか知らんけど、水をおろそかにしてる町に未来はないよ。
2021年のランキングは以下の通り。
1位2位は前年の摂津市ではないもののやはり大阪で、桁違いのぶっちぎりの汚染ぶり。3位に急遽名取市が浮上。前回王者の摂津市は今回は5位。
さて、なぜ大阪のPFOA濃度が高いのか?
それは、テフロン加工の工場があるからです。ダイキンというメーカーです。テレビCMもやっている企業なのでみなさん聞いたことはあるかと思います。
もともとは「大阪金属工業株式会社」で、略称のダイキンが後に正式な社名となりました。社史はけっこう古く、戦前はフッ化物を使った軍事物資を製造していました。海軍の委託を受けた、れっきとした軍需工場でした。
PFOAを世界で初めて作ったのは米国のデュポン社ですが、そもそもPFOAは核爆弾の製造プロセスで生まれたもの。現在では油や水をはじく性質を利用して、テフロン加工の鍋や撥水加工のジャンパーなどに使われているけど、これを軍事技術の「平和利用」などと呼んではいけないよ。だって有害だから。全然「平和」じゃないよ。
PFASの有害性について、デュポン社は長らく否定してきたけど、最近ようやく有罪判決が出て50億円の賠償金の支払いが命じられた。司法の場で正式にPFASの有害性が認定された格好だ。では、どんなふうに有害なのか?
肝障害、腎障害を起こすということは、フッ素の毒性を肝臓や腎臓で処理しようとするせいだろう。
逆に、臨床現場で甲状腺疾患を見て、フッ素曝露を鑑別に挙げられるか?あるいは、問診票を見て患者の住所が摂津であれば、フッ素曝露の可能性を念頭に置く。摂津に住む患者なら、さらに細かく聞いて「近くに淀川、安威川、神崎川が流れていますか?」「川の水を畑にひいて農業をやっている、みたいなことはないですか?」
こういう人は実際にいると思うよ。最近は農業が人気で、自分で畑を持って自分で食べるものは自分で作る、そういうスタイルが人気だから、フッ素に汚染された野菜を食べている可能性がある。
摂津市の住民を対象にした血液検査では、血中のPFOA濃度が非汚染地域の人と比べて70倍高かった。これ、どんな病気が起こっても不思議じゃない数値だよ。フッ素曝露が原因であることに気付かず、病院を受診して「癌」とか「甲状腺機能低下症」とか「肝臓の数値がなぜか高いですねー」なんて言われている人は相当数いると思う。
これ、公害そのものでしょう?水俣病とか四日市ぜんそくとか、社会の授業で習ったけれども、今、実際に目の前で、教科書に載ってる事例と同じ状況が起こっている。大企業が工場から出る副産物を垂れ流して、近隣住民の健康に被害が起こっている。
なぜこんな現状が見過ごされているのか?なぜ政治が機能していないのか?
実はフッ素の問題は最近始まったものではなく、すでに1950年代に、ダイキンの近辺にある農家の牛がバタバタと死んだことが一時問題化し、新聞沙汰になったことがある。
40頭以上の牛が悲鳴をあげて死んだ。異常事態に違いないが、ダイキンは素早く動いて、被害にあった農家にトラクターをプレゼントした。トラクターは高額で、現在でも数百万円する。これを、気前よくポンとプレゼントされて、被害を受けた農家は満足し声をあげることをやめた。
摂津市の市議会議員にはダイキンの社員がいて、この人、議員と社員の二足のわらじを履いている。ダイキンに火の粉が飛びそうとなれば、政治力を使って抗議の声を封じ込める。
太田房江が大阪府知事だったときにも、ダイキンの汚染のことが問題化したことがあったけど、太田知事はダイキンを厳しく追及することはできなかった。これは完全に構造的な問題です。つまり、
ダイキンの会長が太田房江の後援会に多額の資金援助をしているわけです。
政治家にとっては選挙が命。政治家は資金面で強力なサポートをしてくれる太客様に盾突くことは、絶対にできないんです。それで、議会での追及も形ばかりのものになってしまった。
悲しいことだけど、住民の健康をないがしろにしてでも企業の利潤を優先する、そういう構造がきっちりできてしまっているわけです。
小野さんの話
(【参考】本当の日本を取り戻すメール新聞 vol.331)
「政治が機能していないのであれば、自分の健康は自分で守るしかありません。うちの浄水器『ウルオ』はPFASを除去します。第三者試験をしましたが、濾過した浄水ではPFOS、PFOAとも検出されませんでした。
水道水の残留農薬の基準緩和についてもネット上で騒がれていましたが、『ウルオ』は農薬や除草剤に対しても除去が得意です。
個人的に、フッ素や農薬よりももっと大きな問題だと思っていることがあります。それは、水道水の残留アルミニウムの問題です。
私はこの会社を興して20年になります。水道の元に設置するセントラル浄水器を全国のお宅に設置して、年1回のメンテナンスに伺っています。
その際、使用済みのフィルターカートリッジの状況がここ3年で大きく変化しました。
水道管の老朽化でフィルターの汚れがひどくなるのは想像できますが、それ以外の汚れがひどいのです。明らかに目詰まりを起こしています。この目詰まりのせいで水圧が低下し、まずタンクレストイレが流れにくくなります。次に、家中の水が出なくなることもあります。
こうなるとお客さんから電話がかかってきてすぐにお宅に伺うことになります。
3年前までこのような緊急対応は年に数件でした。しかし今では、1か月に10件ほど、全国のどこかで水圧低下が起きて緊急対応をしています。
私はこの原因をアルミニウムだと考えています。
実は残留アルミの問題は、以前から限られた地域で起こっていました。たとえば鹿児島市は、年に3,4回フィルターカートリッジの交換が必要です。
でもこの理由は明確で、それは火山灰の影響です。細かい火山灰を沈殿させるために、水道局は浄水場でポリ塩化アルミニウムや硫酸アルミニウムなどのアルミ系凝集剤を大量に使います。火山灰などの微細な懸濁物質はマイナスに帯電しているため、プラスに帯電した凝集剤を加えると凝集が起こるという仕組みです。
凝集した懸濁物質のことをフロックといいます。フロックが底に沈んだ上澄みに塩素を加えて、水道水の出来上がりです。これ、見かけはきれいな水道水ですが、どうしてもアルミが残留します。
水道水の残留アルミは粘度が高くてネバネバしています。そのせいでフィルターカートリッジに張り付いて、あっという間に目詰まりを起こします。
そのため、通常年1回のフィルター交換が年4回必要になります。
鹿児島の人から問い合わせがあると、こういう事情を説明して納得してもらった上で、浄水器を設置していただいています。
目詰まりを起こす地域は、鹿児島市の他には、久留米市、姫路市など限られていたため、これまでうまく対応できていました。
しかしここ3年でフィルターの目詰まりを起こす地域が一気に増えました。
埼玉県:さいたま市・南埼玉郡・新座市
千葉県:浦安市・船橋市・市川市・柏市
茨城県:ひたちなか市
神奈川県:小田原市・鎌倉市・相模原市・横浜市
山梨県:甲府市
福島県:会津若松市
群馬県:富岡市 安中市
静岡県:静岡市(清水区)・熱海市
愛知県:日進市
兵庫県:姫路市 神戸市
滋賀県:草津市
岡山県:岡山市
和歌山県:海南市・田辺市
福岡県:福岡市・田川郡 ・久留米市
大分県:別府市
宮崎県:宮崎市
そもそもアルミ系の凝集剤を使うのは「急速濾過方式」の浄水場で、昔ながらの「緩速濾過方式」の浄水場では凝集剤を使いません。
残念ながら「緩速濾過方式」の浄水場は年々少なくなっており、現在約25%です。当然、「急速濾過方式」は今後もますます増えていきます。
特に大きな都市ではほぼすべての浄水場で「急速濾過方式」になっています。
4年前から東京の東地域(足立区、荒川区、葛飾区、台東区、江戸川区、墨田区、江東区)で目詰まりが増え始めました。
あまりの件数に混乱しましたが、落ち着いて分析してみると、江戸川水系の金町浄水場と三郷浄水場を利用しているお宅に目詰まりが集中しています。
さらに分析すると、江戸川水系で問題が起きるのは上流のダムの渇水が原因であることが分かってきました。どういうことかというと、
ダムの貯水量が減れば、汚泥が蓄積しているダムの底近辺の水も放流せざるを得ないので、川の汚れがひどくなります。川が汚れれば、その水を水道水にするために大量のアルミ系凝集剤が必要になり、結果、フィルターを目詰まりさせる、という図式です。
つまり、フィルターカートリッジの目詰まりは浄水器が原因ではなく、ダムの渇水、大きく言えば、地球規模の環境変化が原因だと言えます。
ただ、フィルターが目詰まりを起こしているということは、フィルターがアルミを除去しているということです。弊社の顧客は浄水器がアルミを除去するので、アルミが体内に入ることはありませんが、心配なのは何も知らない同じ地域の人です。
水道水に含まれる高濃度のアルミがアルツハイマー病を起こすという研究は、枚挙にいとまがありません。
残念ながら、『お上が住民の健康を気遣ってくれるだろう』などと期待することは難しいのが今の時代です。知識を仕入れ、対策することで、みなさん健康を守ってください」