CBDオイル、不眠、めまい

(今日の症例検討会より)
それでは私のほうから2例、先生方に供覧します。まずはこの症例。
【症例】40代女性
【主訴】睡眠不良
【現病歴】2001年うつ病の診断で投薬治療開始。いまいち改善せず、むしろ次第に増悪(過食嘔吐や自傷行為まで出現)した。それに伴い薬も増え、一時は1日33錠(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬など)も服用するまでになった。
2008年別の疾患(胃腸炎)で入院した際、主治医から「こんなにたくさん薬を飲んではいけない」と言われ減薬開始(いい先生に出会ったなぁ)。抗うつ薬が減るにつれ、抑うつ症状はむしろ快方に向かった。
2021年現在、薬は飲んでいないが、数年間にわたる長期的な多剤服用のせいか、いまだに睡眠の質が悪い。市販のCBDオイル3%を服用して少しよくなったが、さらなる改善を求めて当院受診。
→CBDオイル15%を処方。
1か月後再診時。本人いわく、「よく眠れます。市販の3%のものとは比較になりません。寝る前にいつも本を読んでいますが、全然読めないくらいに眠くなります。しかも1滴です。1滴だけで、深く眠れます。
今唯一の心配は大麻取締法が改正されてCBDオイルまで規制の対象になったらどうしよう、ということです(笑)」

こんな症例ですが、どなたか、ご意見はありますか。
「まず、この人そもそもうつ病だったのかな、という疑問があります。双極性障害Ⅱ型だったのではないでしょうか?こういう患者に抗うつ薬、特にSSRIを投与すると悪化します。この悪化を薬で押さえつけるために別の抗うつ薬やら抗不安薬やらを大量に投与されている患者は臨床でときどき遭遇します。まぁはっきり、薬害ですね。角が立つので主治医先生にあまり露骨には指摘しませんけど。
治療は減薬です。この患者のように、抗うつ薬を抜けばよくなります。あと、CBDオイルですね。双極性障害Ⅱ型でうつ症状が前景に出た患者、ダニエル・エイメンの分類でいうと側頭葉型うつですが、このタイプにはCBDオイルがよく効きます。抗てんかん薬も有効ですが、副作用を考えればCBDオイルのほうがベターでしょう。抗うつ薬は最悪のチョイスで、治療になっていません。
あと、このタイプの人は気分を上げるためにコーヒーやチョコレートを摂取していることが多いのですが、どうですか?」
すいません、そこまで聞けていませんでした。
「仮にコーヒーにはまっているようでしたら、控えるよう指導してください。カフェインは長期的には好ましくないので。
あと、CBDオイル研究会から出ているエンドカ社(ENDOCA)のCBDオイルね。とてもよく効きます。
基本的に大麻というのは雑草みたいなもので、タフな植物です。ほら、ときどきニュースで聞くでしょう?『自宅の押し入れで栽培していた大麻を押収し逮捕』みたいな話。つまり、大麻は暗い押し入れのなかで、人工ライトと液体肥料でも充分育つ。それぐらいタフなんです。でもそうやって育った大麻と、きちんと大地に根っこを張って太陽の光を浴びて育った大麻、どちらが有効成分が多く含まれているか、もう全然比較になりません。市販のCBD製品は値段もピンキリなら質もピンキリです。信用できるメーカーの製品を使うことが大事です。その点、エンドカ社は優れています。まず、土作りからこだわっています。土壌のテルペンやミネラルの濃度をきっちり測定し、同社が持つ土地のうち、もっとも優れた土壌で栽培した大麻を、うちに回してくれています。エンドカ社がこういう配慮をしてくれるのは、我々が医者だからです。医療用に使うという事情を向こうも汲んでくれて、我々のために一般向けよりも良質な大麻を使ってCBDオイルを作っています。
“市販のものよりもよく効いた”ということですが、当然濃度の違いはあるでしょうが、質の違いもあったと思います」
「もう少し言い添えると、薬効は必ずしも濃度に比例しません。15%は3%よりも5倍効くか、というと全然そんなことはありません。薬効を大きく左右するのは、濃度よりはアントラージュ効果ですね。CBDオイルはCBD単独の作用もありますが、その他のテルペン類との調和により、さらなる相乗効果がもたらされます。大麻が育つ土壌の質こそが、その他のテルペン類の濃度を決めます。やっぱり大事なのは質ですね」

ありがとうございます。
では、次の症例です。
【症例】40代女性
【主訴】20年来の吐き気
【現病歴】
患者に語ってもらおう。「昔からずっと吐き気があります。ただ、去年7月に急激に悪化しました。ある日目が覚めたら、ベッドにしがみついてないと飛ばされそうになる、それぐらいの激しいめまい発作が出ました。吐き気とめまいで病院にも行けず、そのまま二日ほど横になっていたら落ち着きました。その後念のために病院に行ったら、吐き気止めの薬(ドンペリドン)が出ました。セカンドオピニオンとして他院に行き、MRIとかいろんな検査を受けましたが”異常なし”とのことで、良性発作性頭位めまい症と診断されました。
同じころから耳鳴りも始まって、常に車酔いのような感覚、”文字酔い”というのか、スマホを見ていると酔う感覚が出てきて、長時間スマホを見ることもできなくなりました。吐き気のせいで食欲もわかず、食事量も減って5kgやせました。午前中は薬なしでは立っていられないくらいです。
何とかならないものかと、いろいろネットを調べました。プロテインと鉄がいいというので飲み始めたり、あと週3回のプラセンタ注射とか漢方薬(当帰芍薬散)とか、いろいろやってますけど、パッとしません。何とかしてもらえませんか」
そう言って当院に来られたのが今年の1月9日です。で、今日(1月16日)、再診したんですね。患者さんいわく、
「はっきり効きました。CBDオイルを朝晩に0.5mlずつ飲む。それだけでもう、てきめんに効きました。何をやっても治らなかったのに不思議です。自分のこれまでの苦しみは何だったんだろうと思いました。
吐き気がなくなったおかげで、しっかり食べれられます。立ちくらみもなくなりました。
電車の乗ると必ず酔うので酔い止めが手放せなかった。でも、のどが渇いたり眠くなったりするのがきつかった。いまはそういう副作用からも開放されました。あと、よく頭痛薬を飲んでいましたら、CBDオイルを飲み始めてから一回も飲んでいません」
20年来の吐き気がCBDオイルであっけなく治ってしまったという症例です。ご意見、頂けますか。
「吐き気の原因は様々ですが、たいていの吐き気に対してCBDオイルが助けになります。吐き気は消化器系の不調によっても起こりますし、極度の緊張でも起こる。酒を飲みすぎた二日酔いの吐き気もあれば、抗癌剤治療による吐き気もある。この症例のように、内耳や聴神経系の異常によっても起こり得る。
原因は様々なのに、その原因を問わずCBDオイルがおしなべて効くのだから、治療効果を見慣れているはずの僕らでも、『やっぱりすごいな』の感がありますね」

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