有機ゲルマニウムとリウマチ

以下に二つの症例を供覧するが、いずれもリウマチを主訴とする50代女性で「ゲルマニウムを飲みましたけど、全然効いてる感じがしません」という共通点がある。
【症例】50代女性A
【現病歴】5年前からのリウマチ。最初メトトレキセートとエンブレムで治療開始したが1年後に肺炎を発症し、入院したことをきっかけに同薬剤を中止。その後はステロイドとケアラムの併用を開始。症状は一進一退。手首の腫れ、腕の痛みがあり、症状は日によってばらつきがある。
9月頃より栄養療法を知り、プロテインを飲み始めたところ手首の腫れが悪化。好転症状かと思って、むしろプロテインを増量したが、10月頃より腕や首に激痛が走るようになり、11月にはプロテインを中断した。サプリはNOW社のB50は吐き気がして飲めなかった。
【施療および経過】
有機ゲルマニウム(1日300㎎)服用を指示。
1か月後の再診時「特にひどくもなっていませんが、よくなった感じはしないです」

【症例】50代女性B
【現病歴】2年前にリウマチの診断で投薬治療開始。現在メトトレキセートとステロイドを服用中。足首、手首、指に腫れがある。
その数年前よりレイノー現象(冷えなどで手が蒼白になる)があり、同時に間質性肺炎の診断もされた。以後、インフルエンザ予防のため毎年予防接種を受けていた。
10月頃よりプロテインやサプリを飲み始めた。「たくさん飲むのが大変です。でもリウマチの人のブログとか見てると、みんなたくさん飲んでるし。今のところ効果は全然感じません」
【施療および経過】
有機ゲルマニウム(1日300㎎)服用を指示。
一か月後の再診時。「ゲルマニウム、1本飲みました。でも効果を感じないので、もうその後は飲んでいません」

症状の改善がない、というのは、治療者としてはつらいところである。まずは、多少なりとも改善を感じさせたい。ちょっとでも「あ、いい感じだな」と思えば、患者の治療意欲も上がるものである。「よし、この方向でもう少し頑張ってみよう」と。
しかし効果がまったく感じられないとなっては、不信感が募り始める。「この医者について行って大丈夫か?」と。

上記の症例報告は、無論、簡潔化して書いてある。実際には他に細かいアドバイスやら何やら各論めいた話は当然ある。しかし、今回僕がフォーカスしたいのは、ゲルマニウムである。

ゲルマニウムを1日300㎎服用するように、という指示は、実は非常に控えめである。本音としては、もっとたくさん(たとえば1日1500㎎とか)飲むように言いたい。でも、値段がやや高額であることもあって、僕としてはどうしても遠慮が働いてしまう。悩ましいところだ。
結果を出さないといけない。しかし、あまり出費がかさんでは治療自体の継続が困難、ということにもなりかねない。

たとえば、患者に金銭的な負担が一切なかったとしよう。そうすれば僕は、断言できる。「1日1500㎎、3回に分けてきっちり飲んでくださいね。そうすれば、早いと1,2か月で、遅くても半年以内には改善してきますからね」と。
なぜ断言できるのか?データの裏付けがあるからです。

慢性関節リウマチ患者17人を対象とした以下のような研究がある。
有機ゲルマニウム1500㎎(1日3回分服)で6か月間連日投与した。なお、17人中15人は投薬治療(ステロイド)を受けており、投与期間中も投薬を継続した。
結果、血液所見では、インターフェロンの上昇(15/17)、赤沈の改善(4/17)、RA因子の減少(6/17)が見られた。CRPが陽性から陰性化(もしくは陽性の程度が減弱化)した症例は52.9%だった。
その他、一般症状(疼痛関節の数、朝のこわばり、生活活動度)の改善が80%の症例に見られた。
なお、早い症例では1,2か月、遅い症例でも4~6か月で治療効果が見られた。なお、副作用は認められなかった。(東海大学第四内科 有森茂らの研究による)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci1978/13/1/13_1_80/_article

80%の症例で改善が見られた。これ、すごい成績だと思いませんか?
研究が改善の可能性を保証してくれてるわけだ。もし患者の金銭面の負担に対して遠慮することなくガンガン勧めることができたとしたら、僕は80%の自信を持って「きっと改善すると思いますよ」と言える。
でも、実際には遠慮してしまうので、1日300㎎程度を勧めるにとどまっている。同時に食事改善や他の栄養素の摂取を併せて行えば、300㎎でも効果が出る可能性があると思ってるんだけど、すでに薬を飲んでるような人では、やはり、なかなか効果が出にくいようだ。

・患者の懐事情なんて忖度せず、パターナリズムを全面に押し出して「こうやれば必ず効く!」を提示するのが医者としてあるべき姿でしょ。
・いや、懐を痛めるのは患者なのだから、金銭面の配慮も当然必要でしょ。
治療の本質とあまり関係ないところかもしれないけど、案外こういうところで悩んでいます(笑)

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