10分と長い動画だけど、時間のない人は最初の2分だけでいい。抗癌剤の何たるかについてエッセンスがつまっています。
ただし、2点反論がある。
現役医師に対して「自分の家族が癌にかかったら抗癌剤による治療をするか」と質問したところ、271人の医師のうち270人が「抗癌剤による治療を拒否する」と回答したとのことだけど、本当?ちょっと信じがたい数字だ。船瀬先生の著書からの引用ということだけど、この271人はどういう医者だったのだろう。何か思想的に偏りのある母集団にアンケートをとったんじゃないの?
ポリクリ(病院実習)や研修であちこちの病院を見て回り、いろんな医者を見てきたけど、たいていの医者(外科医も内科医も)は抗癌剤治療の有効性を信じている。教育の洗脳の深さを実地に見てきた自分にとって、全国の医者から271人を無作為に選んで、そのうち270人が「抗癌剤治療を拒否する」と答えるなんてあり得ないと思う。残念ながら。
当院通院中のある癌患者(50代女性)は、旦那さんが医者なんだけど、本人が抗癌剤治療を拒否したのに、旦那さん、涙を流しながら「頼むから抗癌剤を受けてくれ」と妻を説き伏せた。旦那さんにとってはある意味自分の命より大事な奥さんだよ。当然、可能な限り最高の治療を受けさせたいに決まっている。つまり、この旦那さんは抗癌剤こそが最良の治療だと信じているんだ。こういう医者はたくさんいます。というか、これが普通の医者です。
抗癌剤の有効性を信じている。だからこそ、患者を説得するときにも熱がこもる。癌だと宣告されてショックを受けているときに、医者から「この癌を無治療で放置すれば5年生存率30%です。しかしこの抗癌剤を受ければその確率が65%に上がります。この治療を強く勧めます」みたいなことを言われれば、まずたいていの患者は拒否できない。藁をもすがる思いで抗癌剤に飛びつくだろう。
もちろん、抗癌剤治療の嘘に気付いている医者も多少はいる。気付いていながら、それでも営利目的のために、抗癌剤を熱心に勧める医者もいる。そういうふうに稼いだ金で、3台の高級外車を派手に乗り回している医者を個人的に知っている。抗癌剤治療の矛盾に気付きながら、治療と称して毒薬を売ってぼろ儲けしてこの世の春を謳歌する。多分こういう人の来世は明るくない。僕は特に宗教は持たないけど、因果応報というのはあると思っています。
でも、こんなふうに悪人になれる人は少ないよ。自分の実践する医療が患者のためになっていないと知ったとき、ほとんどの医者は苦悩するだろう。
https://note.com/nakamuraclinic/n/n5a67f5e0e225
苦悩していないということは、知らないんです。単純に。「抗癌剤はいいものだ」って信じてるんです。信じてるからこそ、抗癌剤を勧める言葉に説得力がこもる。それで患者は抗癌剤に行ってしまう。
コロナワクチン、多くの医者が打ったでしょ?自分自身にも打ったし、患者にも打った。やはり、信じてるんです。「厚労省や医師会が推奨するワクチンなんだから、そんなに悪いものなはずがない」と。
ほとんどの医者はそんな、大それた悪人ではないよ。ただ、あまりにもピュアなだけ。医学部教育で教わったことをそのまま盲信してる。もうちょっと製薬会社の言説を疑わないといけないよ。
もうひとつ、上記の動画の反論として、ビタミンCをそんなに万能視すべきじゃない、ということです。なるほど確かに、ビタミンCはすばらしいよ。高濃度ビタミンC点滴が癌治療の助けになる人も当然いるし、ほとんどの人はC欠乏だろうから点滴は無駄ではない。でも癌に対して打率10割かというと、全然そんなことない。Cだけだと行き詰まることが多いし、別の治療オプションが著効する人もいる。「ビタミンCで癌が治る」と言っちゃうと正しくない。あくまで有効な治療手段のひとつという認識にしておいて、食事改善を含めた複数のアプローチで癌治療に取り組むべきです。
さて、前回に続いて、癌に効く食材について紹介していこう。
ただ、その前にひとこと。「癌に効く」という言葉だけど、これは「癌が治る」と同義ではないからね。たとえば「オリーブオイルの成分オレオカンタールを癌細胞に投与すると30分で癌細胞が死滅した」という言葉に嘘偽りはない。実験室で再現可能な科学的事実です。ただし、この事実で以って、「オリーブオイルを飲めばあなたの癌は治ります」ということはもちろん言えない。前回言ったように、癌の発症には様々な原因があるのだから、「これを食っとけば治る」みたいな単純なものではありません。あまり極端に走らないでくださいね。
・味噌
味噌に放射性物質の排出作用があることは古くから知られていて、長崎で被爆した秋月辰一郎(1916~2005)医師のエピソードが有名ですね。
しかし味噌に抗癌作用があるという研究は比較的新しくて、初出は恐らく1981年平山雄博士の論文かと思います。
論文著者の平山博士は国立がんセンターの疫学部長を務めた人。
1960~1980年当時、日本の癌死で最も多かったのは胃癌だった。
マウスに食塩水を強制給餌すると胃潰瘍を発症することから、平山博士としては「味噌汁みたいな塩っけの濃いものをよく飲む人ほど胃癌になるのではないか」との予想のもと、このコホート研究を組んだ。全国26万人を12年間にわたって追いかけた力の入った研究なんだけど、この結果が衝撃的だった。結果は博士の予想とは反対だった。死亡率は味噌汁の摂取量に対して用量依存的に減少した。つまり「味噌汁を飲めば飲むほど胃癌の死亡率が低下した」。相関は男性でも女性でも有意だったが、男性で特に顕著だった。さらに、ここに喫煙の有無を加味してデータを分析すると、タバコを毎日吸う人の胃癌死亡率が、タバコを吸わない人よりも高いのは当然だとして、「タバコを毎日吸うけれども味噌汁を毎日飲む男性」の胃癌死亡率(10万人あたり188人)は「タバコを吸わないし味噌汁も飲まない男性」の死亡率(10万人あたり246人)よりも低かった。味噌汁に含まれる何らかの物質がタバコの発癌性をキャンセルした、ということです。
「味噌のなかに発癌を抑制する物質(プロテアーゼ阻害剤など)が含まれている可能性がある」というのが平山博士の結論だ。
他にも、味噌汁と乳癌の関係性について、以下のような疫学がある。
ここでもやはり、味噌汁を飲めば飲むほど乳癌の発生率が減少していた。
「味噌汁が体にいいんだな!じゃあこれから毎日飲もう」と思った人、せっかくだから、ぜひ味噌の質にもこだわってください。たとえば、こういう研究があります。
ざっと結論だけいうと、マウスに味噌を投与すると、放射線障害に強くなったり、大腸癌、肺癌、乳癌、肝臓癌が発生しにくかったり、胃潰瘍になりにくかったり、高血圧になりにくかった、という論文なんだけど、この研究がおもしろいのは、投与する味噌を発酵日数によって分けたところ。長期発酵(180日間)の味噌が最も効果的だった。
濃いNaCl(2.3%)を与えたマウスでは収縮期血圧が有意に上昇したが、薄いNaCl(0.3%)の投与では上昇しなかった。しかし、長期発酵の味噌に2.3%NaClを混ぜて投与すると血圧上昇が見られなかった。
これ、おもしろいですね。味噌は決して「単なる塩っけ」ではないということです。
ですからみなさん、味噌を選ぶ際は、発酵期間の長いものを選びましょう。あと、もちろん遺伝子組み換えの大豆を使った味噌は避けたい。インスタントの味噌汁とかどことは言わないけど大手メーカーの味噌は、体に悪いことはないだろうけど、いまいちだろうね。個人的には愛知県の八丁味噌がすばらしいと思っています。
・エキナセア
これ、ガーデニングの好きな人には定番の花です。見たことある人もいるでしょう。
エキナセアは過去の記事でも、風邪に効くエビデンスがあるということで紹介したことがある。
https://clnakamura.com/blog/5182/
「風邪に効く」ってすごいことだからね。こういうエビデンスがあるのは、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛、エキナセアしかない。
風邪は万病のもとっていうけど、いわば万病のもとを断つわけだから、癌にも効く。これはビタミンC、D、亜鉛にも言えるし、エキナセアにももちろん言える。
僕はこの花には個人的な思い入れがあります。
僕の母は花が好きな人で、庭にはいつもきれいな花が咲いていました。エキナセアもそのひとつでした。
エキナセアは観賞用の苗木がホームセンターなどで売られていますが、もともとは北米原産の雑草で、従って生命力が強くて、一度庭に植えると自生することも多い。
僕の実家の庭もそうです。母の亡き後、世話をする人がいなくなった庭に、今もこの花が咲きます。母の忘れ形見のようです。
母は癌で死にました。
母の癌が分かったとき、僕は抗癌剤治療をしないように言いました。僕は当時すでに医者になっていましたが、しかし母は僕の言うことよりは主治医の言うことを聞きました。そして、抗癌剤の副作用に苦しみ抜いて死んでいきました。
まさか、自分が庭で愛でている花に抗癌作用があるなんて、母は思いもしなかったでしょう。