危険だから、打つ

30代男性
「憂うつと倦怠感で、生きることも嫌になっていて、でもかろうじて仕事には行けていたのですが、3か月ほど前、いよいよ限界がきました。「しんどいので今日は会社を休みます」と連絡しました。そんな欠勤が3回ほど続いたとき、社長から連絡があって、「どうしたんだ、大丈夫か」と。そこではっきり言いました。「もう無理です」。食欲がないし、睡眠薬を飲んでも眠れない。何も意欲がわかず、ただ横になっているだけ。すると社長が「そうか、分かった。無理なら休んでいてもいい。ただ、今月いっぱいは籍を置いておくから、働けそうなら出社してくれ」
おかしなもので、5年間お世話になったこの会社も、もう終わりなのか、もう来なくていいのかと思うと寂しくて、最後くらいはもうちょっと頑張ろうという気になりました。
「あと1週間でこの会社ともお別れか」なんて思いながら働いていたのですが、そのときにふと、「こんな状態で会社をやめても、次に再就職した会社でまた同じことになるだろう。新しいことを覚えるのもおっくうだし。なんで俺はいつもこんな感じなんだろう」
自分でも思いがけず、怒りのような感情がわいてきました。ほとんど経験したことのないような胸騒ぎでした。
「なぜ人と話すことを避けるのか?情けない!もっと堂々としていればいい。萎縮しちゃいけない。周りのみんなは同じ人間で、同じ職場の同僚じゃないか」
自暴自棄、やけくそ、捨て鉢。胸の内から湧き上がったそういう感情が、僕をある行動に駆り立てました。
同じ班の女性に話しかけたんです。仕事中、それほど関わりがない人でしたが、どうせ仕事をやめるのだから、この人に話しかけておこうと思いました。
僕はこれまで女性とお付き合いしたことはありません。人と話すこと自体が苦手で、女性相手となればなおさらです。でも、このとき、僕の人生でほとんど初めて、蛮勇がわきました。「話しかけて嫌われたってかまわない。それならそれで、仕事をやめる理由が増えるだけのことだ」
その人は僕の話を聞いてくれました。僕の悩み、過去の生い立ちなど(それは先生もご存知の通りです)、じっくり聞いてくれました。一度に全部、ではありません。5回くらいにわたって、合計したら12時間ほどは聞いてくれたと思います。
その子も僕に自分の話をしてくれました。過去に親から虐待されたり、いじめを苦にして不登校になったり、自殺未遂をしたり。僕は驚きました。僕より何倍も明るくて人当たりのいい女性なのに、ある部分では僕よりも重い過去を抱えているなんて、まったく思いもしなかった。
そして、その子が僕にそういう打ち明け話をしてくれたことが、僕にはとてもうれしかった。電話番号も教えてくれました。「私でよかったら、話、聞かせてね」って。
優しさに付け込んだらダメだと思って、電話はできるだけしないように我慢しています。すると、禁断症状みたいになって、スマホ持つ手が震えたり、頭が熱くなったりする。これは何の病気だ、と思いました。
その子は、いわゆる美人というタイプではないのかもしれない。でも、その子の顔を、声を、僕は愛しく思うようになりました。仕事していないプライベートのときにも、その子のことを思ったり。

あるとき、話していて、その子がコロナワクチンを4回接種していると知り、焦りました。僕は先生の記事を読んでいるから、ワクチンは一度も打っていません。危険性についてある程度分かっているつもりです。ただ、なぜ、どういう理由で危険なのか、そういう理屈はうまく言えません。でも頑張って伝えようと思って、先生の記事なんかを見せながら説明しようとすると、「うん、言いたいことは分かるよ。危ないんだよね。打って亡くなってる人がたくさんいるんでしょ。そういうのはどこかで聞いたことがある」
「じゃ、なぜ打ったの?4回も」と聞いて、返ってきた答えが、僕には衝撃でした。
「私、自殺未遂をしたことがあると言ったけど、それは終わった話じゃないの。今でもしょっちゅう、消え去りたいって思う。それでリストカットをしたりする。
ワクチンがリスクだなんて聞いたら、普通の人は打たないだろうけど、私はそうじゃない。リスクが魅力に見える。私、おかしいでしょ。打ったら2年後に死ぬとかいうけど、本当かな」
そう言って笑うので、僕は悲しくなりました。
彼女によると、こういうタイプの人は意外に多いみたいです。学校行きたくないとかもうこの世なんてどうでもいいと思っている人。そういう希死念慮のある人は、このワクチンに飛びつく。危険だから、打つ。安楽死のない日本に突如として現れた、合法的安楽死注射。緩慢な自殺の道具として使っているんです。
あるいは生活苦の人が進んで打つ。「打って死ねれば4000万円入ってくる。子供の生活のたしになるのなら、母さん打ってくるよ」みたいな貧困家庭が実際にあるっていうんです。なんて世の中なんだ、と思います。

僕は彼女の話を聞いて、何も言えなかった。そして、家に帰ってから、泣きました。彼女の前でも泣きそうだったけど、それだけは我慢した。
彼女には「危険だから打っちゃダメ」とも言えないし「自分を傷つけちゃダメ」とも言えない。僕には言葉がなくて、ただ悔しくて、泣くことしかできなかった。

勇気を持ってその子に話しかけたとき、僕はその子のことを好きになるつもりなんてまったくなかった。でも今は、とてもつらい。つらくて、苦しくて、できればその子のことを嫌いになりたい」

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